禁演落語の会@浅草

まだ暑かった8月のことですが、浅草演芸ホールへ涼と笑いを求めて行きました。

8月下席も後半、夜の部、主任は金遊でした。

前もって出演者などを調べないまま行ってみると、夜の部満員。

立ち見がいっぱいでびっくり。

中入り前には座れたのですが、中入り後は「禁演落語の会」というものでした。

 

禁演落語、という言葉は知っていましたが、具体的なことはあまり知りませんでした。

噺が始まる前に長井好弘氏の解説があり、なるほど、そういうことか・・・、と納得しました。

 

禁演落語とは戦時中の昭和16年に、時局柄にふさわしくないと見なされ、浅草寿町(現台東区寿)にある長瀧山本法寺境内のはなし塚に葬られて上演自粛の対象となった53演目の落語のことです。

郭話や間男の噺などを中心としたもので、今でもよく聞く、「品川心中」、「高尾」、「明け烏」など、人気の落語もたくさん入っています。

終戦直後の昭和21年9月30日には、「禁演落語復活祭」によって解除されています。

当夜は「せんきの虫」「子別れ」、金遊師匠の「権助提灯」を聞きました。

みな知っている噺で、今までもいろいろな噺家で何気なく聞いて大笑いをしていましたが、事情を知ると感じが変わります。

しかもこの時期。

 

どれも、たわいない、色話といってもそんなきわどいものでもないのに、それが戦時中の世情だったのだなぁ、と、現在の世と比べてなんと悲しいものかと思いました。

さらに、終戦直後に寄席を再開したその人々の力も素晴らしいと思いました。

 

落語と平和、ちょっと距離があるとは思いますが、こんなことから戦争のない平静の世の中のありがたさを感じるとは・・・、と、いつもの演芸場とは雰囲気が違うな、と晩夏の夜に考えた落語でした。